ハウスメーカーと工務店の違い
皆さんは建築のプロになろうっていうことではないですから、建物の節々を叩いて「おお、これは良い造りしているな」なんてわかりっこないじゃないですか。だから1個か2個聞くポイントを知っておけば、パッと見も良くて中身も良い、あるいは、パッと見は良いけど中身はダメなお家とか見極めのポイントっていうのがわかるようになります。そういうポイントを知っておくと、チラシの隅に小さーーーく書かれている文字の内容もわかるようになるんですよ。こういう小さい文字って知っていたら気にして見るけど、知らなかったらしっかり見ないですよね。
私、こういう講師の仕事しているんで、妻を連れて一般のお客さんのふりして販売会とかモデルハウス見学会とかによく行くんですよ。そうすると必ず聞くんですよ、これから皆さんにお伝えすることを。「コレはいいですけど、アレはどうなっているんですか?」って。すると、だいたい対応が2つに分かれるんですよ。「あ、お客さん詳しいですね。アレはこうなっているんで全然大丈夫ですよ、ご安心ください」って言ってくれる会社と、「うわぁー、やべーな。痛いとこ突かれたな」って思ってそれ以上アプローチしてこれない会社。「ここの数字はまずいから、この人絶対買わないよな。ほかのお客さんが聞き耳たてる前に帰ってくれないかな」って空気が流れるんですよね。だから皆さんもそういうことを知っておくと、わかった上でまぁ、それでもいいかって買うのと、知らないで買っちゃって後で発覚するのとでは全然違うじゃないですか。そういうのをお話しさせてもらおうと思っています。
その前にハウスメーカーと工務店の違いをまず知っておきましょう。ハウスメーカーと工務店っていうのは英語と日本語の違いではなくて、ハウスメーカーはハウスメーカー、工務店は工務店で別物なんですよ。注文住宅を建てる場合、ハウスメーカーで建てるか、工務店で建てるかっていうのが一つの分かれ道になると思います。ではハウスメーカーっていうのがどういう会社かって言うと、プレハブメーカーのことを言うんですね。プレハブメーカーっていうと大きな工事現場にある仮事務所だとか、休憩室になっている物置みたいなのをイメージするかも知れませんが、さすがにこれを作っているのをプレハブメーカーと言うんではなくて、プレハブメーカーっていうのはプレファブリケーションと言いまして、いわゆる工場生産。住宅の大部分を大きな工場で作るようなお家づくりをしている会社のことをプレハブメーカー、ハウスメーカーって言うんです。住宅をテレビだとか自動車だとか、パソコンみたいな家電製品を作るみたいに工場で作る会社のことですね。ただ、プレハブメーカーの場合、お家の場合、テレビとか自動車みたいに完全に完成させて出荷ってことは出来ないですよね。お家が完全に出来て、ヘリコプターとかで運ぶなんて当たり前ですけど出来っこありませんので、部品の大部分を大きな工場で作って、現場で組み立てるっていうのがプレハブメーカー、ハウスメーカーです。だから、プレハブメーカーの良いところっていうのは、図(前回家づくりブログ参照:新築戸建てのジャンルわけ 持ち家の種類とは?)にはブランド志向の方って書いてありますけど、精度が高いっていうのがメリットなんですよ。精度が高い、どういうことかわかりますかね?子供の時にプラモデルとか作ったりしたことないですか?組み立て図があって、部品をカットして、誰が組み立てても同じように出来上がる。プレハブメーカーは同じ部品、同じ作業を指示通りに何度も繰り返す。だから精度が高い。でも、これも良し悪しで、もちろん良いところも多いんですよ。多いんですけど、逆に言えば大量生産型なんですよね。量産型の住宅なので精度が高いってメリットはあるんですけど、どうしても見た目が似偏ってくる。だから私みたいな同業のような人だけではなくて、お家を建てようと思ってモデルハウス巡りをした人から見れば、あれはAメーカーだな、これはBメーカーだな、Cメーカーだなってすぐわかる。これは量産住宅であるがゆえ見た目が似偏ってくるってデメリットが出てきちゃう。それともう1つ。量産している部品に間取りの制約を受けるので、そこまで自由じゃない。自由度に多少制約が出てくる。だから精度が高いってメリットはあるんだけれども、どうしても見た目が似てくるとか、自由度が規格化されてしまうので、お家を自分なりのデザインにしたいだとか、自由度高めの間取りにしたいっていう思いのある人にとってみては、不自由さを感じるかもしれませんね。
プレハブメーカー、ハウスメーカーについてもう1つ。ブランド志向の方って書きましたけど、大手プレハブメーカーだと年間1万棟以上、小さいところでも4千~5千棟やっていますんで、大きい会社が多いんです。上場している会社が多いです。名前を聞いてほとんどの人が認識している会社ですね。だから、高いお金払って住宅を買うんだったら名の通った上場企業がいいかなっていう人には向いているかもしれません。でもこれにも裏表、良し悪しがあって、名前を聞いて皆が知っているっていうことはやっぱりそれだけ露出があるっていうことですよね。プレハブメーカーは数をたくさん売りたいんで、営業マンの数とか、モデルハウスの数とか、コマーシャルの数とか、それまでそこに経費をかけていない工務店に比べるとかなり量が多いので、経費率が結構高いんです。だから、同じくらいの大きさの、同じくらいのグレードの建物だったら、ハウスメーカーと工務店だったら3~4割くらいヘタしたら価格が変わってきます。大手というブランドはあるけれども、その名前の分ちょっと割高になりがちです。わかりやすく説明するのによくお話するのが、料理をするのに食材をお店で買うと想像してもらって、こちらのハウスメーカーが伊〇丹とか〇越とか百貨店で人参、玉ねぎを買うイメージ。工務店が地元のスーパー、地元の八百屋さん。良いものを安く、みたいなのも工務店には結構ありますよっていうイメージになりますかね。ただ工務店だと、玉石混交なんです。良い会社もあれば、残念な会社もある。だから石と玉があれば石の方ではなくて玉の方を見極められるチェックポイントを知っておくと、コストパフォーマンスの高いしっかりとした家づくりをしている工務店もあるんだなってことがわかるようになります。最近だと設計とか保険とかの仕組みも整っているんで、大きい会社じゃないと不安ってこともないんですよね。
マイホーム検討の選択肢の図の最後に書かれている設計事務所のオーダー住宅。これはどういうものかって言うと、建築家とつくるお家、みたいな感じですかね。TV番組とかでよくやってる「なんということでしょう」とか「〇〇の匠」とか言ってるアレがそうですね。あれはリフォームの番組ですけれども、住みにくいとか日当たりがどうとかいう問題を建築家の先生が登場してあーだこーだとリフォームすると、オシャレに綺麗に暮らしやすい家に変身するっていうやつですね。あの匠っていわれている建築家に新築を頼むっていうのが、設計事務所のオーダー住宅です。これはプレハブメーカーの量産住宅とは対極で、一点もののデザイン住宅ですね。ただ建築家とのお家づくりっていうと結構敷居が高くて、半年から1年がかりで打ち合わせをして、そこからさらにまた半年、1年がかりで建てる。かつ、東京とかだったら1億以上かかるんじゃないかみたいなかなり時間も金額もかかるイメージがあるんじゃないかなと思います。最近だとこういった建築家とのお家づくりっていうのもパッケージ化されて30坪前後のお家だったら2,000万前後で建てられるっていうのも出てきていたりしますね。
ちょっとここまでの話をまとめると、建売か注文住宅か。注文住宅の場合だとプレハブメーカーか工務店か設計事務所かみたいなものがざっくりとした選択肢でお話しした傾向がありますよってことですね。色んな会社がホームページであったり、雑誌に載っていますけれども、自分はこれかなっていうのを中心に考えると効率いいんじゃないかなと思います。
建売であろうが、注文住宅であろうが、プレハブメーカーであろうが、工務店であろうが、お家の性能っていうのを知っておいたほうがいいです。次回はこのお家の性能についてお話しようと思います。
